ACTIVITY 活動内容・取り組み

月面表層温度の推定

月の表層温度を知るために,観測データの可視化や数値シミュレーションによる表層温度の推定を行っています.

温度観測データの可視化ツールの開発

NASAのLunar Reconnaissance Orbiterには,月表層の温度観測を目的としたDivinerという装置が搭載されていました.そこで,Divinerが取得したデータを可視化するツールを作成しています.

観測vsモデリング
図1:(左)南極付近の観測データを可視化した例.(右)2010~2011年の間の全観測データを使って,○印の場所の温度変化をグラフに示した. 陽がよくあたる領域と,あまりあたらない領域の温度変化の違いが見て取れる.公転面に対する自転軸の傾きが変化するため,太陽高度も少しずつ変わっている.(大画像

温度シミュレーション

観測されていない時刻の温度状況を知るため,月表層の温度変化のシミュレーションを行っています.

図2:南極点付近の表層シミュレーションの結果.この範囲の地形データしか入力していないため,現実とは違い画面右の大きなクレーターに太陽光が入っていることに注意.
観測vsモデリング
図3:(左)南極点周辺のShaded relief .(中)各点における温度プロファイル.日照条件がよく,比較的一致している.(右)各点における温度プロファイル.あまり一致していない場所の例.二次光の影響が大きい場所や,常に太陽ディスクの一部が見えている/見えていない場所であることがわかっている. 今後の課題は,計算速度向上を行い,輻射光の影響やより解像度の高い地形データを使った計算をすること.(大画像
図4:月の80度以南地域で数値シミュレーションを行った例(直達光のみを考慮した場合).南極付近の温度は大変低く,月の1日を通してほとんど上昇しないと考えられる.このため,地下浅部に水氷があることが期待されている.