ACTIVITY 活動内容・取り組み
AIによる月面影抽出
月面にはダークマントル堆積物(DMD: Dark Mantle Deposit)と呼ばれる非常に暗い(反射率の低い)物質が存在することが知られています. これらは月内部のマントル物質がマグマの噴出とともに地表に運ばれて堆積したものと考えられているため,DMDの分布や化学組成は月の進化過程の解明に重要な情報を持っています.しかし,反射率が非常に低いため,探査データから暗い領域の抽出を行う際に影も一緒に誤検出してしまう問題があります.
JLPEDAでは産総研と共同で月面画像から影を自動検出する手法の検討を行っています.現在は月周回衛星かぐやの観測データに対して人が正しい影として判断した結果を教師データとして,画像認識に用いられるディープラーニング手法を用いてさまざまな条件の観測データに適応し,結果の評価および手法の改良を行っています.
これらの手法の検討を進めることにより膨大な月面観測データを用いたサイエンス研究を行う際に影領域を自動で除くことや判断の難しい月面上に点在するマントル起源の非常に暗い物質(DMD)の識別を行うことができるようになると期待されます.