PRODUCT 公開プロダクト
フォボス表面の傾斜・標高・重力加速度
フォボスは大きさ(26.06 × 22.80 × 18.28 km)の火星の衛星です.火星にはもう一つ衛星ダイモスがありますが、フォボスは火星に近い方になります.宇宙航空研究開発機構(JAXA)で現在進められている火星衛星探査計画(MMX:Mars Moons eXploration)では,フォボスからのサンプルの採取が予定されています.フォボスの近傍で探査機が安全に運用し,着陸するためには,フォボスの重力,表面の起伏,形状を詳しく理解しておく必要があります.
フォボスは太陽系の中で惑星に最も近い衛星で,火星の影響を大きく受けています.またフォボスは地球の月のように,惑星に対していつも同じ面を向けて火星を周回しています.そのため,フォボスの表面で静止している人がいれば,フォボスの重力,火星の重力,フォボスが火星を公転することによる遠心力を受けることになります.フォボスの内部構造はわかっていませんが,フォボスの内部を均一な密度と仮定すると,フォボス表面の傾斜(図1),標高(図2),重力加速度(図3)が計算できます.こうした私たちの計算結果やこれまで得られている探査画像など(図4)は,着陸地点を選定する際の検討材料として利用されています.
Reference:
- Thomas, P. C., 1993. Gravity, Tides, and Topography on Small Satellites and Asteroids: Application to Surface Features of the Martian Satellites. Icarus. 105, 326-344.
- Gaskell, R., 2011. Gaskell Phobos Shape Model V1.0. VO1-SA-VISA/VISB-5-PHOBOSSHAPE-V1.0. NASA Planetary Data System.
- Willner, K., Shi, X., Oberst, J., 2014. Phobos' shape and topography models. Planet Space Sci. 102, 51-59.
- Stooke. P., Stooke Small Bodies Maps V3.0. MULTI-SA-MULTI-6-STOOKEMAPS-V3.0. NASA Planetary Data System, 2015.